イギリスのヴィクトリア女王が愛した優しい光沢が美しい黒い宝石「ジェット」
古くから装飾品として使われていて、燃やすと黒煙を上げることから古代の人々に魔除けの石として信じられていたそうです。
今回は、その独特な美しさを放つ宝石「ジェット」についてお話をさせて頂きます。
ジェット
和名【黒玉(こくぎょく)】
鉱物素材名 | 天然ジェット |
結晶系 | – |
モース硬度 | 2.5-4 |
色 | 黒、濃褐色など |
主な産地 | イギリス、スペイン、フランスドイツ、ロシア、アメリカなど |
化学組成 | 有機物/炭化水素 |
比重 | 1.32 |
屈折率 | 1.660 |
ジェットの特徴
ジェットは海に流れ込んだ木が、沈んで海底層の中で長い年月をかけて炭化した「木の化石」です。
色は不透明な黒や濃褐色があり、磨くとビロードのような光沢を放つのが特徴です。
稀に「パイライト(黄鉄鉱)」を含み真鍮色の金属的な光沢を放つものもあります。
また、琥珀と同様に摩擦によって帯電することから「黒琥珀」とも呼ばれています。
ジェットは加工しやすく、古くからカメオや彫刻品に使われてきましたが、成分は石炭と同なので、燃やすと石炭独特の匂いがします。
更に、アンモナイトや貝の化石が入っているものも稀に見られるそうです。
名前の由来
ジェットの名前の由来はラテン語の「gagates」やドイツ語の「gagat」からきていて、古代フランス語の「jyet」や「jaiet」が語源だといわれています。
モーニングジュエリー(mourning jewelry)
ジェットを用いた加工品が有史以前の墓の塚から発見されたり、紀元前1400年頃から採掘されていたことが立証されるなど、ジェットは古くから人々との関りが深かったといわれています
。古代ローマでは、修道士のロザリオに使われていたといわれています。
更に、19世紀には、最愛の夫アルバート公を亡くしたイギリスのヴィクトリア女王が、ジェットを喪に服する期間に身に着けられる装身具のモーニングジュエリーとして、20年以上にもわたって身に着けていたそうです。
当時ヴィクトリア女王はファッションリーダーとして大きな影響力をもっていたため、このモーニングジュエリーはイギリスを中心としたヨーロッパで大流行しました。
このため、産地であるヨークシャー州、ウィットビーは大変栄えたといわれています。
ジェットはあまり、宝石としては馴染みのない宝石の種類ですが特徴や背景を知ると気になりますよね。
争いや怒りなどから解放され、心の混乱を鎮めてくれたり気持ちを落ち着かせてくれる力もあるそうなので、パワーストーンとしても一つ持っていても良いかもしれませんね。