宝石には様々な種類があります。
その中で種類が少なく、生き物の営みより生み出される「有機宝石」の一つ
「琥珀(こはく)」
太古の森が醸成した、富貴のゴールデンクリスタル
飴色の独特な美しさをもつ琥珀についてお話をさせて頂きます。
アンバー
和名【琥珀】
素材名 | 天然琥珀 |
結晶系 | 非晶質 |
モース硬度 | 2-2.5 |
色 | 黄色~褐色(帯赤色、帯白色) |
主な産地 | エストニア、リトアニア、ドミニカ、ロシア、ミャンマー、日本など |
化学組成 | C₁₀H₁₆O |
比重 | 1.03-1.10 |
屈折率 | 1.540 |
琥珀
天然の琥珀は、古代3000万年前の松柏科の植物樹脂が時間を経て硬化し、化石化した有機宝石です。
しっとりとした潤いと軽く粘りのある感触は、生物的エネルギーを感じさせます。
現存する植物の樹脂が化石化することもあり、「コパル樹脂」が挙げられます。
琥珀とは区別して若い樹脂の化石として取り扱われます。
有名な琥珀の産地はバルティック海沿岸ですが本源はロシアで、比重の低い琥珀は軽いため海水によって対岸のデンマークやノルウェー、
さらにはイギリスの東海岸まで運ばれ、そこで発見されるそうです。
琥珀には透明から半透明まで見られますが、宝飾用としては一般に傷がなく透明なタイプが好まれるため、
濁ったものは加熱処理をして浄化することで透明度を上げて取り扱われることもあるそうです。
また、産出された時には明るい黄色のこはくも、時間がたつと飴色に変わってきます。
アンティークジュエリーなどにセットされた琥珀のほとんどこの飴色の色合いになっています。
その為、アンティークジュエリーを模倣する場合、時代を古く見せかけるために、あえて加熱処理をして琥珀を赤味のある飴色に加工することもあるそうです。
また、琥珀の中に昆虫や植物片が取り込まれていることも多く、
これらの「虫入り」は地質学や動物学上の貴重な資料となり、更に造形的に美しいものは宝石としても珍重されています。
石のパワー
ヨーロッパでは琥珀が厄災から身を守ってこれると信じられ、護符としても使われていたそうです。
日本でも多くの古墳からは、この石を使った勾玉や副葬品が発見されています。
琥珀は、仏教の七宝のひとつで中国では西の方角を守護する「白虎」を象徴した宝石です。
風水において白虎は富貴と金運と実践力の象徴とされています。
健康にも効果があるとされ、アレルギー体質を改善し、免疫力や抵抗力の弱った体を丈夫にする働きもあるそうです。
琥珀の語源
琥珀(アンバー)の語源はアラビア語で、香気を放つ物質「龍涎香」という意味の「Anber」が語源だといわれています。
実際に燃やすと良い香りがすることから命名されたそうです。
ドイツ語では、「燃える石(バーンシュタイン)」
古代ギリシアでは、「勝利を保持する物(ベロニカ)」
ロシアでは「太陽の石(ヤンターリ)」とも呼ばれていたそうです。
和名では「琥珀(こはく)」と呼びます。
中国では昔「虎魄」と書いたそうです。
「魄」は死後の魂のことで、虎の魂が死後に石になったのが琥珀だと信じられていたことが由来していると言われています。
樹木が分泌した樹液が地中に埋もれ、長い年月を経て化石化した生物起源の宝石、琥珀。
これもまた個性的な宝石ですが、古くから人々にとって神聖なものとして愛されていたんですね。