宝石

珊瑚(コーラル)

珊瑚(コーラル)

宝石には様々な種類があります。
その中で種類が少なく、生き物の営みより生み出される「有機宝石」の一つ
「珊瑚(さんご)」
古代から神聖な宝石とされ、
安産、幸運を呼ぶ海の中の宝石と呼ばれる珊瑚についてお話をさせて頂きます。

コーラル
和名【珊瑚】
3月の誕生石

素材名天然珊瑚
結晶系三方晶系/直方晶系/非晶質
モース硬度3.5
赤、ピンク、白、黒
主な産地太平洋海域、地中海沿、日本海など
化学組成CaCO₃
比重2.65
屈折率1.486-1.658

珊瑚

珊瑚は、植物でもなく鉱物でもない、海中の微生物によってつくられます。
宝石として珍重される珊瑚は、南の海に浮かぶ白い珊瑚礁とは全く別種のもので、
「宝石珊瑚(貴重珊瑚)」として分類されます。
珊瑚の主成分は、真珠の外皮の部分と同じ炭酸カルシウムで、人間の手を介することなく
自然の時間の中で少しずつ成長してきたものです。
宝石珊瑚はイソギンチャクやクラゲに似た「コーラル·ポリプ」によって形成されています。
ポリプが沢山集まりコロニーを形成するため、石灰質を分泌してそれぞれを支える足場を築いていき、
樹枝状の珊瑚となっていきます。

珊瑚は色によって評価が異なりますが、最も珍重されるのは「赤珊瑚(オックスブラッド)」、
日本では血赤を示す均一な赤色の珊瑚です。

また、ヨーロッパでは「エンジェル·スキン」(天使の肌)と呼ばれるピンク色も人気があるそうです。
珊瑚は日本でも古来から使われており、それぞれの色に独特な呼び名が付けられていますが、
特に、中間的な色合いに対しては「ぼけ」の用語が使われていて、淡いピンク色は「本ぼけ」と呼ばれています。

地中海の赤珊瑚は日本では「胡渡(こわたり)」と呼ばれていて、奈良時代(710~784年)に
シルクロードを経由して中国大陸から持ち込まれたといわれています。
1868年には珊瑚漁が解禁になり、20世紀に入り、イタリアの珊瑚産業にの中心地である
「トレ・デ・グレコ(イタリア南部)」への輸入が盛んになっていたそうです。
ヨーロッパでは中世に、宗教に関わる装飾品やロザリオにも使われてます。

珊瑚には俗に「むし孔」と言われる小さな孔がよく見られます。
これは珊瑚特有の自然のもので珍しいことではありませんが、埃などが入ると汚れてしまうので、
樹脂や珊瑚の小片で充填されることも多く見られます。

石のパワー

古代から神聖なものとされていた深海に咲く赤い花。

珊瑚は世界中で珍重されている海の宝石です。
ヒーリング効果のある、心臓、循環器、血液の病気などの治療に古くから使われていたそうです。

ギリシャ神話では、怪物メデューサの血が海に飛散してできた宝石といわれていて、
活力が増し幸福を呼ぶ石とされていたそうです。
日本では「産後」にも通じ、安産と愛をもたらす宝石として女性をサポートします。

珊瑚が採取されている場所

宝石になる八放珊瑚は、主に地中海沿岸、日本・台湾沖合い、ハワイ・ミッドウェー島沖の3つ地域で採取されます。
原木の大きさ、色、品質の大差があり、自然環境の差がそれぞれの地域珊瑚を特徴づけています。
ちなみにワシントン条約で採取が規制されているのは六放珊瑚という珊瑚礁をつくっている種類で、
ジュエリーの素材になるものとはまったく別の種類です。

生き物によって生み出される美しい宝石「珊瑚(コーラル)」
海の中の宝石と呼ばれるだけあって神秘な色合いと光沢が古くから
人を魅了し続けてきたんですね。