数ある宝石の中で「貴石」と呼ばれる種類があります。
それは、非常に希少性が高く、最も価値の高い宝石とされています。
「ダイヤモンド」、「エメラルド」、「サファイア」、「ルビー」
この4つの貴石が「世界4大宝石」と呼ばれているんです。
前回のダイヤモンドに続いて「世界4大宝石」の3つ目、「サファイア」のご紹介をさせて頂きます。
サファイア
和名【青玉・蒼玉】
9月の誕生石
鉱物種 | コランダム |
結晶系 | 六方晶系/三方晶系 |
モース硬度 | 9 |
色 | 青、ピンク、黄色、紫など |
主な産地 | タイ、ミャンマー、カシミール地方、スリランカなど |
化学組成 | Al₂O₃ |
比重 | 3.99~4.05 |
屈折率 | 1.762-1.770 |
サファイヤ
サファイアは、「青」を意味する言葉、
ラテン語の「サッピルス(sapphirus)」、ギリシャ語の「サピロス(sappheiros)」が
語源になっています。
和名でも同様に、「青玉・蒼玉」と呼ばれるため、
イメージとしては、青色しかないように思えます。
しかし、実は青の他にも、
ピンク、黄色、紫、ラベンダー、グリーンなど様々な色が存在するんです。
サファイアの鉱物種は、「コラングム」で、ルビーと同じ鉱物です。
コランダムが濃い赤色になるとルビ一になり、
それ以外の色はすべてサファイアと分類されるんです。
その中、多彩な色が存在しつつも、透明感のある青色が最高級品とされています。
インド、カシミール産の「コーンフラワーブルー」やミャンマー、モゴック産の「ロイヤルブルー」など、産地により青の濃淡に違いがあるのも魅力です。
聖職者に愛されたサファイア
サファイアほど神話や逸話の多い宝石のはなく、
古代より重要にされていたことを物語っています。
キリスト教では、中世から司教の叙任の際に印としてサファイアの指輪を与えられ、
人差し指にはめる習慣がありました。
モーセの十戒が彫られた石板もサファイアであったといわれています。
このようにサファイアは、 聖職者を中心に愛されてきました。
サファイアの青が天空の色と結びつき、
天におられる神の意思を伝えてくれる石だといわれていたそうです。
ダイヤモンドに次ぐ硬度
融点が2000℃以上と熱に強く、ダイヤモンドに次ぐ硬度を誇るサファイアです。
その特性を活かし、宝石としてだけではなく、
工業用にも幅広く利用されています。
優れた耐久性と硬度を活かし、レコード針や腕時計の風防、軸受けなどに用いられてきました。
また、ロケットを打ち上げる際の衝撃や熱にも耐久性があるため、
人工衛星の窓にもサファイアの板が使われていたりもします。
また、半導体の基板や、LED発光素子の製造など、さまざまな分野で重要視され、その需要も増加傾向にあります。
非加熱・加熱
スリランカで多く産出される「ギウダ・サファイヤ」。
色が淡く、インクルージョンを多く含み白濁した、透明度の低いサファイアをギウダと呼ばれていて、
1970年代に、ギウダへ加熱処理を施すことで、色が大幅に変化することが発見された。
それから、稀少で高価だったサファイアが 現在のように広く宝飾品として出回るようになったそうです。
サファイヤには「非加熱のもの」と「加熱処理がされたもの」が存在します。
非加熱のままで美しい発色のサファイヤは、非常に希少性が高く、高価なものになります。
エメラルドにもいえることですがサファイアも、
色ガラスや天然石を合成石と張り合わせた「ダブレッ卜」や、
化学の力で人工的につくられた「合成石」も存在しています。
「加熱/非加熱」、「ダブレット」、「合成石」といったキ一ワ一ドは、サファイアの価値を判断する上で重要な基準となります。
サファイヤには産地によって、その色彩や特徴に違いがあります。
次回は、そのサファイヤの種類についてお話をさせて頂きます。