歴史

20世紀を代表するジュエラー ヴェルドゥーラ(VERDURA)

20世紀を代表するジュエラー ヴェルドゥーラ(VERDURA)

20世紀、アメリカのジュエリー界で抜群の存在感を誇ったブランド
大胆さのなかにも貴族的な上品さと繊細さを秘めたジュエリーが特徴の「ヴェルドゥーラ(VERDURA)」
本物の貴族の気品を感じさせるデザインで、ジュエリーデザイナーとしても名を残してきた、「ヴェルドゥーラ」の歴史についてお話をさせて頂きます。

人生を変える運命の出会い

イタリア人「フルコ・サントステファーノ・デラ・チェルダ」、通称「フルコ・ディ・ヴェルドゥーラ」(1898-1978)はイタリア・シチリア島のヴェルドゥーラ公爵家に生まれたジュエリーデザイナーです。

20世紀前半のジュエリーデザイナーのなかで、最も独創的な人物といわれています。
しかし生れ持った貴族特有の気まぐれな気質からか、企業としての功績よりもデザイナーとしての成功を成し遂げています。
1926年、ヴェルドゥーラはシチリアからパリへ拠点を変えました。
そこで運命の人「ココ・シャネル」と出会い、織物やボタン、そして、ジュエリーのデザインを彼女のために行っていたそうです。
ヴェルドゥーラのデザインには、欧州の貴族らしい建築や紋章学などに裏打ちされた膨大な美術についての知識を生かした特徴がありました。
そうしたデザインを極めて大胆に、大きな色石を組み合わせて表現していました。
この頃から生涯を通じてマルタ十字架をモチーフにしたデザインが多く見られていたそうです。
その作品は全て堂々とした大きく、カラフルなものだといわれています。

アメリカでの功績

34年、ヴェルドゥーラはココ・シャネルの知人の紹介を受け、アメリカに渡ります。
そして、テキサス生まれのジュエラー「フラト」の手伝いをした後に、39年には自身の店舗をニューヨークに開きました。
その店を拠点に、ヴェルドゥーラは大きく成功していったそうです。
アメリカ産の天然真珠を使用した動物、美しい貝殻を生かしたブローチ、カボション・カットの色石を生かした植物など、大胆さのなかに貴族らしい上品さと繊細さを感じる作品は、これまでにない斬新なデザインで、20世紀のアメリカのジュエリー業界のなかでも、抜群の存在感を持っていたそうです。

72年、ヴェルドゥーラは自身の会社を売却し、ロンドンに拠点を移した後に、78年に死去します。
その後もヴェルドゥーラの残したデザインをもとに様々なジュエリーはつくられているそうです。
しかし、彼がつくった当時のジュエリーの面影は薄れているものの常に進化した斬新なデザインは健在です。

本来イタリアの貴族だったヴェルドゥーラですが、これほど人々の印象的に残るジュエリーが異国の地アメリカで生まれたのは奇跡的な出来事です。