宝石は結晶で出来ているのをご存知ですか?
宝石には多く種類があり、また特徴や性質も様々です。
その特徴に大きく関係する結晶の系統にも種類があるんです。
宝石を適した方法で取り扱い、宝石本来の魅力を最大限に活かすために、宝石の光学的性質や物理的性質を理解することも必要となります。
今回は、宝石に関する「結晶系」についてお話をさせて頂きます。
結晶とは
鉱物の大半は「結晶」でできています。
そして「結晶」とは、個々の原子が規則正しい原子配列を持つ立体構造のことです。
世の中にある岩石の結晶のほとんどは、微晶質または潜晶質といった顕微鏡を使わなければ見えないくらい小さかったり、形状がいびつなどの理由で宝石としては使用できません。
また、一部の鉱物には結晶構造が弱かったり、または結晶構造を持たない非結晶のものもあります。
外見では結晶面がまったく見えない不規則な形状の結晶もありますが、内部の原子配列は規則正しい立体構造になっています。
結晶の硬度や耐久性などの物理性質や、光の反射率、透過の様子などの光学的性質は、いずれもその原子配列に大きく関係しています。
結晶系
鉱物の外見上の特徴を示すものを結晶系と呼びます。
肉眼では見えないほどの小さな一片でも巨大な塊でも、同じ原子配列を持つ鉱物であれば内部構造は同じです。
なので、同じ結晶系をしているということです。
結晶系は、結晶内部の中心を通る結晶軸の本数や長さ、それらが交わる角度によって、下の6つに分類されます。
等軸晶系
上下前後左右の3本の結晶軸の長さがすべて同じで、直角に交差するもの。
代表的な鉱石はダイヤモンド、ガーネットなどがあります。
正方晶系
上下前後左右の3本の結晶軸が直角に交差し、うち上下軸の長さが他の2本と異なるもの。
代表的な鉱石はアポフィライトなどがあります。
六方晶系(三方晶系)
4本の結晶軸のうち、上下軸の長さが異なり、同じ長さの3本の軸が120度で交差するもの。
代表的な鉱石はルビーなどがあります。
斜方晶系
上下前後左右の3本の結晶軸の長さがすべて異なるが、3本とも直角に交差するもの。
代表的な鉱石はトパーズ、ペリドットなどがあります。
単斜晶系
上下前後左右の3本の結晶軸の長さがすべて異なり、うち2本は直角に交差し、1本が斜めに交差するもの。
代表的な鉱石はムーンストーンなどがあります。
三斜晶系
上下前後左右の3本の結晶軸の長さがすべて異なり、3本とも斜めに交差するもの。
代表的な鉱石はアマゾナイトなどがあります。