宝石

ペリドット

ペリドット

オリーブグリーンから明るいライムグリーンまで美しい緑の色合いと、オイリーな光沢が特徴の宝石。
夜でも美しく輝く緑色の宝石「ペリドット」
紀元前から産出されていた歴代の深い宝石です。
今回は、「ペリドット」についてお話をさせて頂きます。

ペリドット
和名【橄欖石(かんらんせき)】
8月の誕生石

鉱物種オリビン
結晶系直方晶系
モース硬度6.5-7
黄緑
主な産地ミャンマー、スリランカ、ブラジル、ノルウェー、中国、アメリカ、パキスタンなど
化学組成(Mg,Fe)₂SiO₄
比重3.34
屈折率1.654-1.690

ペリドット

ペリドットの鉱物名は、ラテン語のオリーブを意味する「オリビン」といいます。
宝石名「ペリドット」の語源は諸説ありますが定かにはなっていないそうです。
中でも、アラビア語で「宝石」を意味する「ファリダット」が由来だという説があります。

歴史上で最も古い産地として知られているのは、エジプトの紅海にある「セント・ジョンズ島」です。
航海技術の発達していない紀元前の時代には、常に霧に包まれたこの島に辿り着くことすら困難であったことから、ギリシャ語の「捜し求める」を意味する「トパゾス」に由来して、当時はこの石を指してトパーズの名が用いられていたともいわれています。

イブニング・エメラルド(夜会のエメラルド)

純粋なオリーブの様な美しい緑色は価値の高いものとされますが、市場に出回っている多くのペリドットは黄色がかったライムの様な緑色が占めています。
ペリドットの大きな特徴として複屈折率の高さがあげられます。
それは、石を正面から見ると裏側のパビリオンの稜線が二重になって見えるほどのものです。
これによりほの暗い照明下でも明るく強い輝きを放つことで、「イブニング・エメラルド」の異名も持っています。

しかし、劈開を生じるために強い衝撃を加えると割れてしまうことや、比較的柔らかい石なので、長い間使用しているとファセット・エッジの摩擦が起こってしまうこともある非常に繊細な宝石です。
更に酸に対しても弱く、加工の際などに表面が荒れて曇ってしまうこともあるので注意が必要です。

耐火性に優れた橄欖石

ペリドットはマグネシウムを含む「苦土橄欖石」と鉄を含む「鉄橄欖石」が混ざり合ってできています。
苦土橄欖石の割合が多いと黄緑色になり、鉄橄欖石が多いと黒味がかった色になります。
宝石に使われるのは苦土橄欖石の割合が約90%を占める黄緑色のペリドットです。
苦土橄欖石は融点が1,900℃と非常に高く、現在では鋳型砂などの耐火物にも利用されているそうです。