和名が「黄玉」というように、黄色い宝石の代名詞として知られる「トパーズ」
大きくて美しい結晶を産出する宝石として知られています。
そして、古くから多くの人々に愛されてきた数ある宝石の中のひとつです。
今回は、その「トパーズ」についてお話をさせて頂きます。
トパーズ
和名【黄玉(おうぎょく)】
11月の誕生石
鉱物種 | トパーズ |
結晶系 | 直方晶系 |
モース硬度 | 8 |
色 | 無色、青、ピンク、薄茶、黄褐色など |
主な産地 | ブラジル、パキスタン、マダガスカル、スリランカ、ミャンマー、ロシア、メキシコなど |
化学組成 | Al₂SiO₄(F,OH)₂ |
比重 | 3.49-3.57 |
屈折率 | 1.619-1.627 |
トパーズ
古代エジプトやローマ時代から大切なものとして扱われてきた宝石「トパーズ」です。
18世紀にドイツのエルツ山脈で黄色のトパーズ鉱床が発見されてから、ヨーロッパではダイヤモンドに並び多くの宝飾品に使われていたそうです。
一般的に「黄色い宝石」の代表格として有名ですが、無色、青、ピンクなどの様々なカラーバリエーションがあります。
また、トパーズは主成分として水酸基とフッ素の量によりOHタイプとFタイプに分類されます。
Fタイプは変色、褪色しやすく、保存や取り扱いに注意が必要タイプです。
大きくて美しい結晶の宝石
トパーズは大きくて美しい結晶を産出する宝石といわれています。
中でも最大のものは、アメリカのスミソニアン博物館に展示されている172面カットの「アメリカ・ゴールデン・トパーズ」です。
なんと重さは、22,892.5カラット(4.5785kg)もあるそうです。
これは世界で一大きな黄色いトパーズであるだけではなく、世界中のあらゆるファセットカットされた宝石の中で最大のものとされています。
トパーズの種類
インペリアルトパーズ
オレンジ、そしてオレンジがかった黄色、赤みがかったオレンジのトパーズを「インペリアルトパーズ」と呼びます。
特に美しいシェリー酒の様な色合いで、赤みの強いオレンジ色のトパーズは価値が高く評価されています。
また、アメシストを加熱処理することでできるシトリンが大量に流通されたことで、インペリアルトパーズと混同されたことから、「プレシャストパーズ」と区別されることもあります。
ピンクトパーズ
高品質のピンクダイヤモンドのような美しい輝きを放つ「ピンクトパーズ」は、別名「ローズトパーズ」とも呼ばれています。
通常ではインペリアルトパーズを加熱処理することで美しいピンク色に変化させています。
その大半はブラジル産となりますが、ごく希にパキスタン産の加熱処理がされていないピンクトパーズが見られることもあるそうです。
現在までで世界で唯一、非加熱の「ピンク・インペリアルトパーズ」を産出するのはパキスタンのカトラン高原といわれています。
カラーレストパーズ(ホワイトトパーズ)
ダイヤモンドのように無色である「カラーレストパーズ」は、ブリリアントカットに研磨すると、ダイヤモンド程の輝きはありませんが、見た目が似ていることから、ジルコンとともにダイヤモンドの代替品とされてきました。
主な産地のブラジルでは「水滴」を意味する「Pingot’agua」と呼ばれているように、カラーレスのトパーズは、水の様な透明感と高い輝きを持っています。
ブルートパーズ
以前では、処理がされていない「ブルートパーズ」が、日本で産出されることもあったそうです。
しかし、肉眼ではアクアマリンとの判別がつきにくく、アクアマリンの代用品として使われる程度の宝石だったそうです。
その中、カラーレストパーズに放射線照射をすることで、色鮮やかな青色を付けることが可能となり、一気に注目を集めました。
現在市場に出ているほとんどのブルートパーズは、この放射線照射によって色付けされたものです。
黄色い宝石の代表格である「トパーズ」
黄色以外の様々な色彩をもつトパーズは今でも多くの人々に愛され続けています。
美しい輝きをもつトパーズは、特に安価なジュエリーにも高価な宝石の代替品としてでも幅広く使わている宝石です。