歴史

20世紀を代表するジュエラー ジョージ ジェンセン(GEORG JENSEN)

20世紀を代表するジュエラー ジョージ ジェンセン(GEORG JENSEN)

20世紀に誕生した近代の名店「ジョージジェンセン(GEORG JENSEN)」
デンマークのエ芸を象徴するブランドといわれ、創業者が自ら築いてきた金細工師や彫刻家の経験。
世界的に知られる「スカンジナビアン・デザイン」の基礎となったともいわれるモダンなデザインを数多く世に送り出してきたジュエラー「ジョージジェンセン」の歴史についてお話をさせて頂きます。

彫刻から銀細工への道

デンマーク人「ジョージ·ジェンセン」(1866-1935)により創業された北欧を代表するジュエラー。
ジェンセンは、デンマークのコペンハーゲン北部にある自然豊かな地で鋳物工の息子として生まれました。
一般的な教育を受けることよりも現場で技術を磨き、修練を積む職人気質の人物であったそうです。

その中でも1887年、コペンハーゲンにある美術学校に入学し、金細工師でありながらも彫刻を専攻して92年には卒業証書を得ています。
この時からジャンセンは、その生涯を彫刻家として始めることとなりました。
98年に、陶器のアトリエを開きます。
しかし、銀製品の魅力に目覚め、銀細工師の道を歩み始めることとなりました。
1904年にコペンハーゲンのプレドゲード街36番地にジェンセンは銀製品を扱うアトリエを開きます。
これが「ジョージ·ジェンセン」の銀器やジュエリーメーカーとしての始まりだったといわれています。

当時から、ジェンセンのつくった銀製のジュエリーは非常に好評だったそうです。
09年には、ベルリンへ最初の海外進出を果たし、その後もロンドン、パリ、バルセロナと海外への幅を広げて行きました。

ホロウェアでビジネス展開

ジェンセンが製作していたものは、銀製のジュエリーだけではありません。
05年頃からは、銀製でティーポットや水差し、食器類などのホロウェアつくっていたそうです。
ヨーロッパの生活様式から、西欧の生活の中でティーポットなどは必需品であり、商売の上では多くのシャアを占める重要な商品となっていました。
ホロウェアが加わることで、ジェンセンのビジネスは大きく飛躍しました。

しかし、業務の拡大には資金の面で難しい問題を抱えていました。
経営を見直すためにもマネジメントの改善を行い、16年には株式会社に組織変更をします。
その後、17~18年頃には資本を持った外部の組織が経営に参加します。
ジェンセン自らの指導は継続されていましたが、次第に芸術的なデザイン面と現実的な経営面での亀裂が大きくなっていきます。

槌目仕上げのから鏡面仕上げへ

ジェンセンがつくりるジュエリーには地金の表面に金槌で叩いたままの、槌目を残した特徴があります。
通常では、叩いて形成された地金の表面を、バフ掛けと呼ばれる研磨工具使用して磨き上げる鏡面仕上げと呼ばれる工程が一般的なジュエリーにはあります。
しかしジェンセンは、そのバフ掛けを取り入れなかったそうです。
更に、宝石には高価なものをほとんど使用せず、ムーンストーン、アゲート、ラピスラズリ、クォーツなどといった極めて安価な宝石を取り入れていたそうです。
これは、当時の英国で流行していた「アーツ・アンド・クラフツ運動」やパリを中心に人気のあった「アール・ヌーヴォー」の影響を受けていたともいわれています。
しかし、このジェンセンのスタイルは第一次世界大戦が終わった後の、機能主義となる合理的で明解なデザインを求められる流行りとなった世の中の流れが変り、次第に孤立していきます。

その後、経営に加わった外部組織とも意見の相違いが重なり、バフ掛けを取り入れた表面を完全に磨き上げた鋭い曲線や直線が生かされたデザインが出てくるようになりました。
不本意ながらも会社の方針を受け入れましたが、ジェンセンはそうした製品は自らがつくるものではないと、24年から26年にかけて、自分の家族や一部の職人を連れてパリに移住したそうです。
そこで2年程、会社とは離れて自身のものづくりに励んでいたそうです。

その後、帰国後にも会社の仕事には携わります。
時代は新しい作家たちの、機能主義の時代に変わっていました。
ジェンセンは、有能で新たな作家たちを登用し仕事を与え、たとえ創業者である自身の好みとは違ってもジェンセン社の作品に取り入れていくことに非常に積極的であったそうです。

後に広く知られる北欧の代表的な「スカンジナビアン・デザイン」と呼ばれるすっきりとした機能的なデザインを追求しながら、見事な個性を持ったデザイナーとコラボレーションを遂げています。
「シグバルド・ベルナドッテ」、「ヘニング・コッペル」、「トールン・ビューロヒューベ」などという、名だたるデザイナー達がジェンセンに賛同し、数々の名作を世に送り出してきました。

その後のジェンセン社は、資金上の問題から陶磁器のメーカーである「ロイヤル・コペンハーゲン社」と提携しますが、現在でも北欧デザインを代表するジュエラーとしてコペンハーゲンの繁華街ストロイエ通りに店を構えいます。
更に、世界各国にも店舗を構えて繁盛しています。
職人がつくった企業、それが「ジョージ・ジェンセン」だといわれています。