宝石の中でも珍しい、電気を発する石「トルマリン」
全ての色が存在していてカラーバリエーションも豊富な宝石です。
今回は「トルマリン」についてお話をさせて頂きます。
トルマリン
和名【電気石(電気石)】
10月の誕生石
鉱物種 | トルマリン |
結晶系 | 六方晶系(三方晶系) |
モース硬度 | 7-7.5 |
色 | 無色、赤、ピンク、オレンジ、ゴールデン、黄、緑、青、紫、ブラウン、黒など |
主な産地 | ブラジル、アメリカ、タンザニア、ケニア、ジンバブエ、マダガスカル、モザンビーク、ロシア、など |
化学組成 | (Na,Ca)(Li,Mg,Fe,Al)₉B₃Si₆(O,OH)₃₁ |
比重 | 2.82 – 3.32 |
屈折率 | 1.61-1.65 |
電気を発する石
「トルマリン」は、10種類以上もある鉱物種の総称として呼ばれています。
エルバイト(リチア電気石)やドラバイト(苦土電気石)などの種類があります。
トルマリンは豊富な産出量ではありますが、その内の宝石品質となる美しい鉱石は限られています。
そして、宝石となるトルマリンの種類は大半がエルバイトです。
また、トルマリンの結晶は主に柱状のものが多く、その結晶に対して縦方向に圧力をかけたり加熱したり、強く擦ったりすると、結晶の表面に静電気が発生します。
この帯電する特徴から和名で「電気石」と呼ばれています。
豊富なカラーバリエーション
トルマリンは、他の宝石には類を見ない程のカラーバリエーションが豊富な宝石です。
結晶構造の中には様々な成分が入っていて、様々な元素が合まれる複雑な化学組成によって多彩な色が見られます。
緑 、赤、黄色、青、ピンクなど、無色のものから黒色のものまで、全ての色が揃っているといわれています。
更に、同じ色のものでもひとつひとつの色合いが微妙に異なっていて色調の幅が非常に広い宝石なんです。
中でも、鮮やかな緑色のトルマリンは 珍しく、エメラルドと混同されていた時代もあったそうです。
そして、パライバトルマリンは「世界3大希少石」の1つでもあります。
また、ひとつの結晶体でも部分的に全く違った色を示すトルマリンもあります。
上下で色が異なる結晶をカットしたものを「パーティ・カラード・トルマリン」と呼びます。
2色の場合には「バイカラー・トルマリン」とも呼ばれています。
中心と外側の色が異なる結晶は平板状にカットされ、一般には中心が赤色またはピンク、外側が緑色を示す「ウォーターメロン・トルマリン」が有名です。
また、トルマリンは平行状のチェーブ・インクルージョンが発達しやすく、各色のキャッツ・アイ石も希に見られます。
鉄の成分に起因する暗い緑色の「グリーン・トルマリン」は古くから知られていましたが、今世紀になってタンザニアで発見された、クロムパナジウムによる彩度の高い緑色のトルマリンも注目されています。
また1980年代の末にブラジルのパライバで発見されたトルマリンは銅を合む独特な色彩で、「イルミネーション・カラー」と呼ばれ、冴えたピーコック・グリーンやトルコ・ブルーは、今までのブルー系やグリーン系には見られなかった色合いで人気のある新種のトルマリンです。
これは世界3大希少石のひとつである、別名「パライバ・トルマリン」と呼ばれる種類のものです。
トルマリンの種類についてもまた、ご紹介させて頂きますので是非ご覧ください。