宝石

最古の宝石 -真珠-

最古の宝石 -真珠-

最古の宝石と呼ばれた「真珠(Parl)」
人類と真珠の関わりは、太古の昔から続いているといわれています。
現存する様々な神話、旧約聖書、古事記などに文献として残されていることから
神秘的な宝石として古くから崇拝されてきたそうです。
また、鉱石から研磨されて輝く宝石と違い、
発見された時点で、ありのままに美しく輝く真珠は、
人類が初めて出会った宝石だといわれています。

今回はその「真珠」についてお話をさせて頂きます。

真珠の誕生

真珠は、貝という生き物から生み出されます。

貝の特徴としては、まず貝殻を持っていること。
しかもその貝殻を自分でつることができることです。

貝も生き物なので、心臓、胃、腸、肝臓などの器官を持っていますし、
それらの器官は人間と同様にそれぞれ機能しています。
しかし、実は貝には「外套膜(がいとうまく)」という貝類特有の、貝殻をつくる器官があります。
貝殻に密着し、内臓や体全体を覆う薄い膜です。

この外套膜は不思議な行動を起こすことがあります。
例えば、何かの拍子で外套膜が切れてその一部(破片)が体内に入り込みます。
そうするとその破片は、体内から栄養分を摂取して成長し生き続けるそうです。
そして、成長して袋状の組織をつくります。
この袋がまさに真珠が出来る、切っ掛けとなる「真珠袋」と呼ばれているそうです。
真珠というのは貝殻と同じ成分なので、本来の外套膜の機能を取り戻した
真珠袋によって貝殻の体内で貝殻をつくり始めます。
こうして体内に出来た貝殻こそが真珠となって誕生します。

この奇跡的な出来事によって誕生する天然の真珠は、非常に希少で価値の高い宝石として知られています。
しかし、人類が今まで成し遂げることの出来なかった真珠を養殖によって生み出す方法が発明されました。

1893年 (明治26年)、日本が誇る老舗ジュエラー「ミキモト」の創始者である「御木本幸吉」によって、世界で始めて養殖真珠がつくられました。

120年以上も前に、一種の臓器移植の方法を発明していたんですね。
これは、発明王エジソンも認める程の偉大な発明だったといわれています。

養殖真珠

養殖真珠が出来るまでにまず、母体となる貝の育成から始まります。
採苗から稚貝を摂取し、育てていきます。
十分に育成が進み、卵抜きといわれる仕立てや貝殻を開く工程などを経て
3年目にしてやっと「核入れ」といわれる最も重要な工程に入ります。

まず外套膜の一片のことを「ピ一ス」と呼ばれています。
また、核になるものとして様々な種類がありますが、主に貝殻を削り球体にしたものを使います。
そして、このピースと核を一緒に貝の体内に人れます。
すると、ピ一スが成長し始めます。
一緒に人れた核に沿って育ち、核全休を包み込むまでになり、
真珠袋の完成です。

この真珠袋が真珠をつくりだすんですね。
体内から接種した栄養分をもとにして真珠袋は真珠層をつくっていきます。
そして、それを真珠袋の中にある核の表面に塗りつけられます。
時間が経つにつれ、層は何層も何層も積み重なっていき、
中の真珠が大きくなるにつれ、包んでいる真珠袋も大きくなっていきます。
数年と時間が経過していき真珠層が十分に重なり、巻かれてきたところで養殖真珠が出来上がります。

また、真珠の形にこだわらなければ核を入れる必要はなく、「ピース」のみを入れれば真珠はできるそうです。
いかに真円の真珠をつくれるかは、この核が非常に重要なんですね。

原理としては天然の真珠も同じで、様々な偶然の働きで外套膜の破片がその貝の体内に入り込み、
そしてその結果、奇跡的に真珠袋になって出来たのが天然真珠なんですね。
天然の真珠が極めて希少性の高いことを感じます。
そして、これを人工的に養殖することの大変さと、それを発明されたことの偉大さを強く感じます。