数ある宝石の中で「貴石」と呼ばれる種類があります。
それは、非常に希少性が高く、最も価値の高い宝石とされています。
「ダイヤモンド」、「エメラルド」、「サファイア」、「ルビー」
この4つの貴石が「世界4大宝石」と呼ばれているんです。
前回のサファイアに続いて「世界4大宝石」の4目、「ルビー」のご紹介をさせて頂きます。
ルビー
和名【紅玉】
7月の誕生石
鉱物種 | コランダム |
結晶系 | 六方晶系/三方晶系 |
モース硬度 | 9 |
色 | 赤 |
主な産地 | タイ、ミャンマー、スリランカ、モザンビークなど |
化学組成 | Al₂O₃ |
比重 | 3.99~4.05 |
屈折率 | 1.762-1.770 |
ルビー
赤く輝く宝石「ルビー」は、ラテン言語で赤色を意味する「ルべウス」に由来しています。
古代ローマでは、心に炎を宿す石とされ「カンブルクルス(燃える石炭)」と呼ばれていました。
ルビーには太陽の光や紫外線などの光に反応し、炎が燃えているのように赤く輝く性質があります。
旧約聖書の「ノアの方舟」でも、暗闇の中で方舟を照らした赤い石として伝えられています。
このように、ルビー の赤色は古来「炎」や「血」に例えられ、時の権力者たちが、
敵や災害から身を守るための護符として身にっけてきたといわれています。
奇跡の結晶
ルビーの希少価値が高い理由は、その生成過程にあります。
ルビーはサファイアと同じコランダムという鉱物でできています。
コランダムにク口ムという金属が混じり、濃い赤色になったもののみが「ルビー」と呼ばれる宝石になります。
実は、赤く美しく輝くルビーのクロムの含有量はコランダムに対してわずか1~2%程度なんです。
ク口ムが少ないとピンクサファイアと呼ばれる薄い赤色になり、
逆に多すぎると灰色っぽくなって宝石としての価値さえ失われてしまうこともあります。
このコランダムに適度なクロムが含まれること自体が自然界では奇跡的であり、起こりにくいことなんです。
出合うはずのない物質が混ざり合ってできた奇跡の結晶、 それがルビーなんですね。
ピジョンブラッド
ルビーは、玄武岩や大理石など、様々な岩石の中で結晶となり成長する鉱石です。
産地によって色調が変わるのは、周りの環境に大きく関係しています。
鉄分が多く含まれた玄武岩が起源の夕イ産は少し黒っぽいルビーになり、
大理石などの石灰岩が起源のミャンマー産は鮮やかに発色するルビーになります。
そのなかで最高級品とされるのが、ミャンマーのモゴツク地方で産出されるルビーといわれています。
赤ワインのような深みがある、その赤色は
ピジョンブラッド(鳩の血の色)」と呼ばれて貴重なものとされています。
重要なのは赤色の濃さと透明度で、深みがありながらも鮮やかに輝くルビーが価値があるといわれています。
最初の合成石
ルビーは宝石の中で、最初に人の手で合成に成功した宝石です。
原料となる酸化アルミニウムと酸化ク口ムを粉にし、
2000℃以上の炎で溶かして再結晶化させるもので、
開発者の名前をとってベルヌーイ法(火炎溶融法)と呼ばれています。
そして、サファイアやコランダム以外の鉱物もこの方法で合成されるようになりました。
また、不純物を多く含み、宝石品質に適さないルビ一は工業用として幅広く活用されています。
ダイヤモンドに次ぐ高い硬度と摩耗しにくい性質を活かし、レコ一ド針や腕時計の軸受けなどに主に使われ、
暮らしの身近なところで役立つています。
ルビーには産地や生成する環境によって、色調や輝きに違いがあるんですね。
次回は、そのルビーの種類についてお話をさせて頂きます。