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ジュエリーの製造工程 -道具の紹介-

ジュエリーの製造工程 -道具の紹介-

前回に引き続き、ジュエリーが出来るまでの制作の中から
職人の仕事シリーズ第3回目となる番外編「道具」について。
今回は、「磨き」工程の中で使用する様々な道具をご紹介していきます。

道具

ロールペーパー(紙やすりを円筒状に巻いた道具)
これをハンドグラインダー(リューター)に取り付け高速回転させ、ジュエリーの表面に残るヤスリの跡や、
地金表面を均一になるように削っていきます。
ロールペーパーには#200から#1000まで粗さの種類があり、粗い目から細かい目まで順に掛けて表面を整えます。

シリコンホイール(シリコン素材の薄いディスク状の道具)
これもハンドグラインダー(リューター)に取り付けて使用します。
用途は石枠の際や、ロールペーパーが入らない細かい個所の研磨です。
シリコンホイールには多種多様な形状や粗さがあり、用途に応じて使い分けます。

フェルトホイール(フェルト地を圧縮して円筒状に固めた道具)
指輪などの内側を磨く際に使用します。
ペーパーでザラザラした表面を馴染ませ、光らせる為の下地になります。

毛ブラシ(円盤状にナイロンの毛が付いている道具)
シリコンホイールで処理した石枠や細かい個所を滑らかに磨くための道具です。
シリコンホイールで処理した箇所はざらつきが残っています。
回転させたブラシに研磨剤を付け、ざらつきを滑らかにし、光らせやすいように処理していきます。

豆バフ(後述のバフの小さいサイズ)
全体の研磨に使うバフは一般的に直径で21cm~24cmと、磨く対象からしたら比較的大きなものになります。
大きな方が、研磨時により研磨力が増し光沢を出しやすくなりますが大きい分、細かい個所を磨くことはあまり得意ではありません。
そんなときに使う道具が、2cm前後の小さなバフ≪豆バフ≫なのです。
リングの内側にも使用します。

バフ(布を数十枚重ねて中心周辺を縫い合わせたもの)
全体研磨に使用します。
大きなモーターに取り付け高速回転させ、ジュエリーを磨き込みます。
サイズも様々ありますが、一番のポイントは布の硬さが違うバフを使うことにより研磨力や光り方が変わる点にあります。
本来は研磨剤の粗さによって光沢は調整するものですが、実はバフの種類によっても光り方は変わるんです。
更に言うと、職人さん曰くモーターの回転速度の調整によっても変わるそうです。

自社アトリエの職人に話を聞いたところ、
どんな道具も同様で、使い方を少し変えるだけで全く違う効果を得られることもある。
【これはこう使う】といった俗にいう【当たり前】は通用しない。
だから面白い。
こんなことを話していました。
固定概念に囚われず常に試行錯誤を重ね創意工夫の精神を持って仕事に臨む。
これはどのような仕事にも当てはまることだと思いました。