前回まで、ジュエリーが出来るまでの制作の全体的な流れをお話させて頂きました。
今回から数回に分けてジュエリーの製造工程において
更に詳しく、各工程ごとについて話をさせて頂きたいと思います。
初回のテーマは「ヤスリ掛け」についてです。
ジュエリー職人としての、キホンの“キ“ともいえるヤスリ掛け。
基本中の基本であり、ジュエリーの形状を決める最も重要な工程になります。
ヤスリの紹介
ヤスリには主に、目の粗さの違いで4種類あります。
粗目⇒中目⇒細目⇒油目の順番で目が細かくなっていきます。
更に、形状にも様々な形があり、ヤスリを掛けたい箇所の形状に合わせてヤスリを選択します。
「平型」、「半丸型」、「丸型」、「角型」、「三角型」、「先細型」、「鎬型」、「楕円型」、「腹丸型」、
「ハマグリ型」、「両甲丸型」等が一般的に使用されるヤスリです。
その他、WAX加工用、紙ヤスリ、スポンジヤスリ等の様々なやすりがあります。
平型
大きく全体を削る時に使います。
半丸・両甲丸・楕円・腹丸・ハマグリ
リングの内側など逆反り箇所に使います。
丸
溝などの細い箇所をヤスリ掛けする時に使います。
角・三角
L字の角などを削る時につかいます。
三角は溝を切る時にも使います。
以上が簡単なヤスリの種類の説明になります。
ヤスリの主な使用目的は、当然のことながら削る事にありますが、実際のところ、
思い通りに削っていく事は、非常に難しいので技術が必要です。
力加減を間違えると、削り過ぎて製品を駄目にしてしまうこともあります。
使うヤスリも力加減も、経験を積みながら身体で覚え、適切なものを選択できるようになり、
丸いものは丸く、真っ直ぐなものは真っ直ぐに。
ヤスリ掛けの跡が一定方向に整い、その後の作業を邪魔しない綺麗なヤスリ目。
このことを意識せずに、当たり前に出来るようになって初めて職人としてのスタートラインに立てるのです。
ジュエリーの世界では0.1mm以下の精度が求められるほど、精密な作業が求められます。
それも機械だけの作業ではなく、人の手作業で行われる、正に職人の業なのです。
そのような繊細なジュエリー製作のスタート地点がこのヤスリ掛けなのです。
ジュエリーの製作に携わる「職人技術」のほんのさわり程度ですが、
今後、数回に渡り紹介していきたいと思いますので、読んでいただけますと嬉しいです。