貴金属は0.3ミクロンの薄さで金属に付着させてコーティングできるんです。
それが「メッキ加工」です。
前回まで貴金属の「品位」と「刻印」についてお話をさせて頂きました。
今回は金属の色味や質感を見事なまでに変えてしまう「メッキ加工」についてお話をさせて頂きます。
※1ミクロン=1000分の1mm
メッキ加工
メッキ加工は対象物に掛けるコーティングのようなもので、
主にジュエリーでは、製品を水溶液の中へ浸し、
水溶液に入った別の貴金属物質にはプラスの電力を、
製品にはマイナスの電力を流し
製品の表面上に電着させて約0.3ミクロンという薄い皮膜を生成させる加工が施されています。
メッキの歴史自体は古く、現在とは手法は違いますが古墳時代からあったそうで、仏像に金色のメッキ加工が施されていたんですね。
ちなみに「塗金(塗金)」→「滅金(めっきん)」→「鍍金(メッキ)」→「メッキ」と
表記されていたそうです。
英語ではPlateing(プレーティング)と言います
効果
金やプラチナの貴金属は希少性が高く、地金そのものが高価なものになります。
なので貴金属だけで製品にすると非常に価格があがってしまうので
低価格なものをつくる為に安価な金属の表面のみに薄く貴金属素材をメッキ加工して見た目も同様に
高級感のある綺麗なゴールドや白金色に仕上げることが出来ます。
価格や見た目の面だけではなくメッキ加工をする事で、汗や皮脂などの酸から腐食を防ぐ効果や酸化、硫化による
変色のスピードを遅らせる効果があります。(決して変色を起こさないわけではありません。)
更に変色を遅らせるために、通常0.3ミクロンのところ、厚めに0.5ミクロンのメッキを掛ける場合もあります。
ちなみに吹奏楽などで使われる金管楽器などには5ミクロンのメッキが施されているそうです。
また、安価な金属に比べ貴金属にはアレルギー反応が出にくいという特性を活かしてアレルギー対策にもなるんですね。
ロジウムメッキに関しては、硬度が高くなり、傷が付きにくくなる効果もあると言われています。
主なメッキの種類
- 金メッキ(ゴールド)
- ロジウムメッキ(白金色)
- ピンクメッキ(ピンクゴールド)
- プラチナメッキ(白金色)
- ルテニウムメッキ(ブラック)
ホワイトゴールド(K18)
貴金属のひとつ「金」には「ホワイトゴールド」という白金色の種類があります。
日本では、基本的にこのホワイトゴールドに「ロジウムメッキ」が施されて白金色になっています。
これは金を主体とした合金のため(金75%/銀、パラジウム25%)うっすらと金色が残ってしまう為です。
より美しく仕上げるためににロジウムメッキが施されているんですね。
ちなみに「ロジウムメッキ」は、
特性として美しい白金色の光沢と強度が得られることから
数多くの製品に使われています。
高価な製品にから安価な製品まで、多様な目的をもって幅広く活用されている重要な工程のひとつ「メッキ加工」。
「メッキはいつか剥げる」なんて言葉がありますが
ジュエリーのメッキは極めて薄いので摩擦や経年劣化などで更に少しずつ薄くなってきます。
長くお使いのものは購入された店舗やメーカーに相談して定期的なケアをおすすめします。