ダイヤモンドについて

何故婚約指輪が出来たのか⑤

何故婚約指輪が出来たのか⑤

「ダイヤモンドの指輪がないとそのプロポーズは本物ではない」と、
男としての成功を映すのはダイヤモンドなのだと世の男性に浸透させてお話がありました。
私が読んだ本にとても興味深い内容があったので
一部抜粋してまとめたものをご紹介させて頂きます。
前回に引き続き、全6回中の第5回目をご紹介させて頂きます。

―婚約指輪という神話―

N.W・エイヤー社はダイヤモンドを売っていたわけではない。
同社が売っていたのはダイヤモンドに関する、特に婚約指輪に関するコンセプトだったのだ。
それにどんな意味があり、なぜ人はそれを必要とするのか。

1947年、N.W・エイヤー社は「ダイヤモンドは永遠の輝き」というキャッチコピーで宣伝活動を展開した。
映画スター達にダイヤモンドをプレゼントし、アカデミー賞の授賞式や出演映画の封切り、競馬のケンタッキー・ダービーなどに出かけていくセレブ達に宝石を貸し出す事業も始めた。様々なメディア、雑誌、新聞、各界のジャーナルなど可能な限り、写真が出たり、取材されたりするように露出を計らった。
そして心理的欲求を付加してダイヤモンドの婚約指輪が小売りのレベルで実用品や実用的なサービスに太刀打ちできるようにしていった。

若い女性に向けて、「婚約のシンボルとして、いかなる場所でも受け入れられ、認識されるのはダイヤモンドだけなのだ」と、「ダイヤモンドがなければプロポーズは本物ではない」と常に広く宣伝し続けた。

彼らの宣伝対象は男の子達にも及んでいた。
「男としての人生の成功を映し出す物質はダイヤモンドなのだ」と宣伝した。ダイヤモンドを用意しないことには本当にプロポーズしたことにならないと、「3か月分の給料を永遠に続くものに」といったコピーを打ち出して、婚約指輪にいくら払うべきかについてまで、人々の思考を支配した。自分の値打ちの大きさがダイヤモンドの大きさに比例することは言うまでもなかった。

デビアスの市場調査、広告、プロダクト・プレイスメントの巧妙な組み合わせにより、私達は完全に幻惑され、この神話が現在ただ今だけでなく過去においても正しかったのだと信じ込んでしまった。

実際、この神話は非常に説得力があり、それまでデビアスでさえ売り込むことができなかった、それほどダイヤモンドを欲しがっていなかった客層に対しても、製品は空前の売上を記録したのだった。

引用・参考文献
エイジャー・レイデン、2017年、「宝石 欲望と錯覚の世界史」、築地書館

「ダイヤモンドは永遠の輝き」や「3か月分の給料を永遠に続くものに」
といったキャッチコピーを聞いたことがある方もいると思います。
ものの価値を作り出す戦略としてダイヤモンドにはデビアス社とNW・エイヤー社作り上げられた原点がありました。

ダイヤモンドが世の中に必要なものだと浸透しているのは
深い潜在意識を洗脳させるため、長い年月を経て宣伝活動してきたからなんですね。
今でも伝承されているのはすごいことだと思います。