婚約指輪に使われるダイヤモンド。
今では一般的に市場に出ていますが
その歴史について、私が読んだ本にとても興味深い内容があったので
一部抜粋してまとめたものをご紹介させて頂きます。
前回に引き続き、全6回中の第3回目をご紹介させて頂きます。
―デビアスの印象操作―
大衆認識の支配について、真実はこうだ。ダイヤモンドは希少でもないし、本質的に価値があるものでもない。
ダイヤモンドがもつ価値は大部分が消費者の心の中に創造されるものなのだ。ダイヤモンドの指輪は地位材の典型だ。自分以外の人が持っている物と、(できれば自分のほうがより素晴らと)比較されるための、ステータスシンボルとして以外に何の目的もない。
つまりこうだ。自分以外のみんながある物を手に入れたいと思って入る理由で、自分もそれを手に入れたいと思う。
そして、誰かがそれを持っているという理由で、他のみんなもそれを手に入れたいと思うのである。1882年ダイヤモンド市場は崩壊する。その10年前から毎年100万カラットのダイヤモンドが南アフリカの大地から発見されていたため、その産出量の多さからごく普通のありふれたものになってしまったのである。
1888年、ローズは素晴らしい解決策を思いつく。ダイヤモンドがもはや珍しいものでなくなってしまったとしても、人々に逆のことを信じ込ませるように、ローズは他の大きな鉱山の所有者を説得して、利益を整理統合し、市場へ出回るダイヤモンドの量を規制する会社を設立した。
そしてダイヤモンドを思いのままに配分したため、購入希望者は、入手可能なダイヤモンドはそれほど多くないと簡単に信じてしまったのだ。
十分なダイヤモンドが市場に無いという嘘を人々に信じさせるため、ダイヤモンドの生産を一年だけ三分の一に削減したのだ。この方法は魔法のように上手くいった・・・少なくともしばらくの間は。
1902年、ローズが亡くなった年、デビアス鉱山産出量を上回るカリナン鉱山が発見された。
その後、鉱山所有者のアーネスト・オッペンハイマーは、デビアス鉱山と半ば強引に併合させ、オッペンハイマーが会長として支配権を握った。デビアスは地球上の90%のダイアモンド権益を握って、今や完全独走態勢となった。しかし、ダイヤモンド・ラッシュは続き、鉱山からはまるで砂利のようにダイヤモンドが流れ出した。
引用・参考文献
オッペンハイマーはここで気づく。
ダイヤモンドがその価値を維持し続けるためには、ダイヤモンドが希少あるというデビアスの「幻想を宣伝」し続けるだけでは十分ではない、もう一つの別の幻想「ダイアモンドは必要だ」という幻想を高めていかなければならないのだと。
エイジャー・レイデン、2017年、「宝石 欲望と錯覚の世界史」、築地書館
セシル・ローズは「アフリカのナポレオン」と呼ばれ、学校の教科書にも登場しているそうです。
大富豪であるロスチャイルド家から資金の援助を受けてデビアス社を設立。
その後、数多くの鉱山を買収し鉄道関係や新聞などあらゆる分野を
支配下におき、政界にまで進出したそうです。
経営者から主相にまで登り詰めました。
次回は婚約指輪について
「指先を飾るもの」です。