競技大会のメダルでは、「金」、「銀」、「銅」とランク付けがされていますが
歴史をさかのぼると実は、「銀」は「金」よりも価値があるとされていた時代があったんです。
では、なぜ今では同じ貴金属の中でも銀がこれほどまでに低価なものへとなったのでしょうか。銀の歴史についてお話をさせて頂きます。
歴史
銀の歴史は古く、紀元前4,000年頃にはすでに銀を造る技術があったといわれていて、
紀元前3,000頃につくられたといわれる宝飾品も発見されていきますが、この頃銀をどの様に抽出してつくっていたのかは解明されていません。
しかし、紀元前2,500年頃には灰吹法(はいふきほう)という鉱石から銀を抽出する技術が開発されたそうです。
産出量も少なく、希少価値が高かったことから宝飾品や銀貨として使われ、古代エジプトでは「銀は金よりも価値がある」とされ、その価値は金の約2.5倍だったそうです。
中世ヨーロッパでも銀の需要が増え、プラチナの約2倍の価値が付いていたそうです。
供給量が間に合わず銀が不足していた当時、アメリカ大陸の発見によって状況は大きく変りました。
15世紀から16世紀にかけて、中南米で多くの銀山が発見されたことや、16世紀から17世紀にかけて日本でも多くの銀山が発見されました。
日本の銀産出量は世界の3分の1を占めていたそうです。
また金属から不純物を取除き、純粋な銀を抽出する精錬(せいれん)技術が発展したことで、世界中で銀が大量に流通され
結果として銀の希少性が低下してしまいました。
銀もいずれ枯渇する
地球上に存在するといわれている
銀の総量は約140万トン
金の総量は約23万トン
金と比較して銀は、非常に多いんですね。
また、これまでに採掘された推測総量が
銀は約100万トン
金は約18万トン
まだ、眠っている埋蔵量が金は約5万トンに比べ
銀はその8倍の約40万トンもあるんですね。
金の希少性が非常に高いことが、このことからもよくわかりますよね。
しかし銀はまだ沢山あるかといってもいずれ枯渇します。
あと20年から30年もすれば無くなるといわれています。
多くの銀は工業用や装飾品、日用品に使われていて
さらに需要が広がる可能性も大きいです。
銀は電気伝導率や熱伝導率が高く、金も溶かす「王水」にも反応しにくいという性質があり、
工業技術が発展すれば銀の需要にも大きく影響がでて
さらに銀への必要性が高くなったころには
その価値も高くなるかもしれません。
世界中で多くの人々に愛され
美しい輝きを魅せる銀(シルバー)。
幅広い分野で活用しているにもかかわらず
その価値他の貴金属に比べて非常に安価な金属です。
その歴史と背景についてのお話でした。